デザイン、システム、そして「働く場所」のデザイン。

デザイン、システム、そして「働く場所」のデザイン。

身近な場所にこそ、力を

もともと、デザインで身を立てようと志した時、僕が守っていた一つの想いがありました。
それは、デザインという思考を、もっと様々な業界や業種に適用させていくこと。
当時はまだ、デザインといえば「高尚なもの」「よくわからないコンセプトのもの」になりがちでした。
でも、僕はそうじゃなくて、もっと中小企業や、街の飲食店のような身近なところにこそ、デザインの力を落とし込みたかったんです。

システムに関しても同じで。僕がシステム関係の仕事を始めた2000年頃、ある一定規模の中小企業はシステム導入が進んでいましたが、町の例えば飲食店がシステム導入に前向きなケースなんてほとんどなかったかなと。

「大きな企業だけのもの」と思われていたそれを、もっと一般に広めたい、、、そんな思いでここまでやってきました。 で、ふと気づくと。
その考え方は、今の「組織づくり」にもつながっているな、と。

精神論だけでは、乗り越えられない壁がある

働く人たち、特に女性が、その力を発揮できる環境を本来は提供したい、、、そう強く思うようになったんです。
子供ができると、時間はなくなる。
これは僕自身も子育ての真っ最中だから、痛いほどわかる。物理的に時間がなくなる中で、ただ「もっと前に出ろ」と精神論を言うのは酷な話で。
だから、企業側がその環境を工夫しなきゃいけない。

うちには、創業当初から支えてくれている女性ディレクターがいます。
彼女が結婚して住居が変わるタイミングで、僕たちは初めて本格的なリモート環境を整備しました。
2017年ごろからGoogle Workspaceを入れて、チャットでやり取りして、データはクラウドで共有して、、、 今では当たり前かもしれませんが、その頃から積み上げてきたリモートワークの実績など「働き続けられるステージ」が、今の私たちの土台です。
結果として、スタッフの8割は女性。 そして、みんな本当に(驚くほど)非常に優秀ですし、急な子供の熱などの際も、「お互い様」でカバーし合える相互フォローの体制が自然と根付いています。

日常の景色から生まれる、新しいコンテンツ

そんな彼女たち――スタッフ、エンジニアやデザイナーたちと一緒に、今、新しい試みを始めようとしています。
「女性たちが、例えば子供たちのために作るちょっと嬉しくなるコンテンツ」。
自分たちが生活の中で欲しいもの、子供に触れさせたいものを、自分たちの手で作ってリリースする。

「今朝、子供を送り出すときにこんなことで困った」
「うちの子、最近こういうものに夢中なんです」

そんなスタッフ同士の何気ない会話が、企画の種になります。
自分たちが生活の中で欲しいもの、子供に触れさせたいものを、自分たちの手で作ってリリースする。

かつて僕が、デザインやシステムを身近なものにしたかったように。
今度は、育児などで一度仕事を諦めてしまった女性が、もう一度「足を踏み出してみよう」と思える、、、そんなステージの一端になれたらいいな、と。

「戻ってきたい」と思える場所であり続けるために

先日、少し残念なことがありました。
お母様の介護をしながら並走してくれていたスタッフが、環境の変化により、一度お休み(退職)という道を選択されました。

今は無理をせず、ゆっくりしてほしい。 でも、もし彼女の気持ちが少し落ち着いて、再度「働こうかな」って思ってくれた時に、、、また戻ってきて、活躍できるスペースを、僕としては作っていきたいんです。
そのためには、企業としても成長しないといけないし、彼女が「戻ってきたい」と思えるような企業になっていきたいな、と。。。強くそう思っています。

踏み出した足を受け止める「箱」として

僕が以前、影響を受けたTEDのシェリル・サンドバーグの「Why we have too few women leaders」というスピーチがあります。
Facebookの最高執行責任者(COO)だった彼女が、女性の社会進出を勇気づけるかっこいいスピーチです。
英語を勉強中というのもあって、何度も繰り返し聞きました。

ただ、それを聞いた2010年頃と、今の状況は確実に変わっています。
お母さんたち、そして女性が社会に進出することは、より自然な流れになってきていると思います。

SNS等の広まりによって、個人が様々な発信をし、社会に影響を与えられる機会も増えました。
社会との接点を女性自身が持ちつつあるし、意識も高まっている。

もしかしたら、スピーチのテーマとなっていた「Lean In(一歩踏み出す)」という意識のハードルは、多くの女性の中ですでにクリアされているのかもしれません。

でも、それでもやっぱり、思うんです。
その「踏み出した足」を受け止める場所――例えばリモートであっても力を発揮できる環境や、リーダーになりたいという思いを持っているのにそれが叶わない人たちに対するステージというのは、実はまだ世の中に少ないんじゃないか、と。

今まで蓄積してきた力を発揮したいのにできない。 本当はこういう仕事がやりたいのに、環境が合わずに諦めている。 一人立ちして活躍されている方も非常に多いですが、あえて「会社」というチームの中で活躍の場を求めているケースも多々あります。

だからこそ、うちがその受け皿となる「箱」になれたらいいな、という風に思っています。

もう一度、テーブル席に着くために

シェリルのスピーチの中に、僕がずっと大切にしている言葉があります。

“Sit at the table.” (テーブル席に着こう)
“Don’t leave before you leave.” (辞める前に辞めないで)

彼女は、女性がもっと自分から一歩踏み出すこと(Lean In)が必要だと説いていました。
「女性自身の踏み込みが足りない」と。

でも、僕はそれを聞きながらずっと思っていたんです。 踏み込むためには、安心して座れる「テーブル(環境)」が絶対に必要なんじゃないか、と。

そういった立場の方々が、遺憾なく力を発揮できる「席」と「環境」。 これからも、そんな「場のデザイン」を整えていきたいと思っています。

もし、そんな僕たちの働き方や、新しい取り組みに興味を持ってくれる方がおられたら、ぜひ一度、お話ししましょう。

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